黒米(くろまい/紫黒米)とは?栄養・歴史・品種・炊き方・選び方まで完全ガイド

  • URLをコピーしました!

黒米とは(定義・呼称・分類)

黒米は、玄米の表層部(果皮・種皮)にアントシアニン系色素が蓄積して黒紫色に見える有色米の一群です。日本では「黒米」「紫黒米」「紫米」といった呼称が使われ、赤色系のタンニン色素をもつ赤米や、緑米と並ぶ「古代米」と総称されることもあります。分類上は一般の稲(Oryza sativa)の栽培品種群で、うるち種/もち種の両タイプが存在します。

「紫黒米」はうるち・もち両タイプで品種が育成されており、うるち系には「むらさきの舞」「おくのむらさき」、もち系には「朝紫」「さよむらさき」「兵系紫86号(兵庫県)」などが知られます。

歴史と日本での品種

黒米はアジア各地で古くから栽培され、祭礼食や供物として扱われてきました。日本でも「古代米」として伝承があり、近年は地域振興や外食・製菓用途で再び注目されています。日本の公的研究機関は1990年代以降に国産適性を持つ紫黒米品種を育成し、たとえば「朝紫」はインドネシア・バリ島の紫黒米に由来する日本稲型の改良紫黒糯として公表されています。

うるち系の「おくのむらさき」、粳タイプの「兵系紫86号」など、栽培性や色素含量に配慮した育成が続いており、兵系紫86号は「ゆかりの舞」よりもアントシアニン含量が1.5〜2.0倍と報告されています。

色素と栄養—研究が示すこと/言えること・言えないこと

黒米の代表的な色素はアントシアニンで、主要成分としてシアニジン-3-グルコシド等が同定されています(カリフォルニア産黒米の分析例)。総アントシアニン含量は0.63 mg/g(=630 μg/g)程度の報告があり、炊飯後は20〜35%程度の残存率まで低下したというデータもあります(調理法により差。圧力鍋で減少が顕著)。

分析法の妥当性検証(農研機構)は、紫黒米・黒大豆の総アントシアニン量が0.50〜2.71 mg/gの範囲で測定可能であることを示しています。品種や栽培条件、精米度、調理条件でばらつくため、「黒米=常に◯倍」といった固定的比較は避け、範囲で理解するのが適切です。

ポリフェノール(アントシアニン、フェルラ酸、γ-オリザノール等)については抗酸化性などの基礎研究やレビューが多くありますが、抽出物(エキス)や強化食品を対象にしたヒト試験も含まれます。たとえば、黒米アントシアニン強化パンで食後血糖・脂質応答が改善したランダム化クロスオーバー試験や、シアニジン/デルフィニジン抽出物で食後代謝の指標改善を示した研究があります。これは「黒米そのものを食べた効果」ではなく、抽出物/強化食品のデータである点に注意が必要です。

FAQ(拡張版)

Q. 黒米・紫黒米・紫米の違いは?

A. いずれも色素をもつ有色米の呼称で、大きくは同系統を指します。栽培・流通では品種名(例:朝紫、おくのむらさき)が重要です。

Q. どれくらい混ぜるのがベスト?

A. 白米1合に黒米5〜10gが入門向け。色を濃くしたい場合は15gまで、水は黒米大さじ1に水大さじ2を目安に追加。 Q. 浸漬は必要?

A. はい。最低30分、理想は1〜8時間。浸漬水ごと炊くことで色・香りが活きます。

Q. 圧力鍋のほうが良い?

A. やわらかく炊けますが、アントシアニン残存率は低下しやすいデータがあります。色を保ちたい場合は通常炊飯を推奨。

Q. 安全性(ヒ素)は大丈夫?

A. 国際基準(精米0.2、玄米0.35 mg/kg)と日本のデータを踏まえ、一般的な摂取では過度に心配する必要はありません。多様な主食・副菜と組み合わせる食べ方を。

Q. 価格の目安は?

A. 例として、400gで約1,780円、1kgで約2,841円(時期・店舗で変動)。

Q. 保存はどうする?

A. 15℃以下・低湿が理想。家庭では冷暗所〜冷蔵(野菜室)の密閉容器・小分けで。夏季は特に冷蔵推奨。

※健康・栄養に関する記述は研究・公的資料の範囲で要点を要約しています。個別の疾病予防・治療を意図するものではありません。食物アレルギーのある方、治療中の方は医療専門職にご相談ください。

本ページに記載されている内容や情報、計算結果等に関して本サイトでは一切責任を負いかねますので、ご了承ください。また、本サイトではアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

CATEGORY MENU