普段何気なく使っている紙。コピー用紙やポスター、名刺に至るまで、実はそのサイズには驚くべき歴史と秘密が隠されています。
本ページでは国際規格「A判」や「B判」の基礎知識から、面白い雑学までを解説。紙サイズの一覧表も掲載しているので、印刷やデザインにお役立てください。
紙サイズの基本
紙のサイズは、主に A判(A0〜A10) と B判(B0〜B10) に分類されます。これらは日本工業規格(JIS)や国際規格(ISO)で定められた標準サイズです。それぞれ縦横比が「1:√2」という黄金比(白銀比)に基づいており、どれを半分に切っても同じ比率を保つのが特徴です。
A判サイズ一覧
A判の起源はドイツで考案された「DIN規格」と呼ばれる国際標準規格に基づいています。この規格は、用紙の縦横比を「1:√2」に統一することで、どれだけ紙を折りたたんでも縦横比が変わらない特性を持っています。この美しい比率は「白銀比」とも呼ばれ、日本の建築やデザインにも影響を与えました。
この比率のおかげで、A0サイズ(1㎡)を基準に半分ずつカットしても常に同じ比率を維持できます。そのため、A4からA3に拡大コピーや縮小コピーをしても、端がはみ出したりしないのが特徴です。
A判はISO216規格として広く採用され、ヨーロッパやアジアを中心に世界中で使用されています。特にA4サイズは履歴書や書類の標準サイズとして、事務作業や学校教育の場で欠かせません。
日本では、1993年に行政文書をA4サイズで統一する指針が出され、以降は役所やビジネスの現場でもA判が一般的に利用されています。一方で、日本独自のB判との使い分けも続いています。
A0サイズ | 841×1189mm |
A1サイズ | 594×841mm |
A2サイズ | 420×594mm |
A3サイズ | 297×420mm |
A4サイズ | 210×297mm |
A5サイズ | 148×210mm |
A6サイズ | 105×148mm |
A7サイズ | 74×105mm |
A8サイズ | 52×74mm |
A9サイズ | 37×52mm |
A10サイズ | 26×37mm |
A11サイズ | 18×26mm |
A12サイズ | 13×18mm |
B判サイズ一覧
紙の「B判」は、日本独自の伝統を背景にした用紙規格で、多くの歴史や知識が詰まっています。
B判は、ドイツで生まれたA判とは異なり、日本独自の文化に根ざした規格です。その起源は、江戸時代に使われていた「美濃紙(みのがみ)」に遡ります。美濃紙の大きさを元に、明治時代に国の公式文書サイズとして採用され、国際規格であるA判が普及するまでは、国内で最も多く利用されていました。
B判(A判も同様)は縦横の比率が「1:√2」で統一されています。この特性により、紙を半分に裁断しても比率が変わりません。この「白銀比」は日本建築や仏像のデザインにも使われる美しい比率で、「調和と落ち着き」を与えるとされています。
B判の基準は「B0」で、そのサイズは1030×1456mm。B1、B2と進むごとに、紙を半分に裁断したサイズとなります。縦横の比率が同じため、大きさが異なる用紙でもデザインや印刷物が統一感を持つのが利点です。
かつて日本では、B判が公文書や書籍の標準サイズでした。しかし、国際規格化が進む1980年代以降、A判の利用が増加。現在では、B判はポスターや大判プリントなどに使われることが多い一方、古き良き時代を感じさせる存在でもあります。
B0サイズ | 1030×1456mm |
B1サイズ | 728×1030mm |
B2サイズ | 515×728mm |
B3サイズ | 364×515mm |
B4サイズ | 257×364mm |
B5サイズ | 182×257mm |
B6サイズ | 128×182mm |
B7サイズ | 91×128mm |
B8サイズ | 64×91mm |
B9サイズ | 45×64mm |
B10サイズ | 32×45mm |
B11サイズ | 22×32mm |
B12サイズ | 16×22mm |
紙サイズの豆知識
どこでも使える黄金比
A判とB判の縦横比「1:√2」は、折っても切っても比率が崩れない便利な形。
これは、19世紀末にドイツの科学者オストヴァルトが提案したアイデアが基になっています。
JISとISOの違い
JIS(日本工業規格)とISO(国際規格)では、同じ「B判」でもサイズがわずかに異なります。
例えば、JIS B0は1030×1456mmですが、ISO B0は1000×1414mm。
延長サイズの存在
特殊な用途に応じて、「A4×3」や「B2×4」など、元の規格を延長したサイズも存在します。
これらは主に製本や大判ポスターで使われます。
紙の目とは?
紙には「紙の目」と呼ばれる繊維の流れがあります。この方向性を無視すると、印刷や折り加工の際に紙が割れやすくなるため、印刷業界では重要なポイントです。
まとめ
A判やB判は日常的に使うだけでなく、歴史や工夫に満ちた存在です。ぜひ本記事を参考に、紙のサイズについてさらに理解を深め、印刷やデザインで活用してみてください!